就業規則はなぜ必要?【豊田中央社労士FP事務所通信/第5号】

2015-01-18

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       ■ 豊田中央社労士FP事務所通信/第5号 ■ 2015.1.2
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新年あけましておめでとうございます! 
豊田中央社労士FP事務所の加藤です。

旧年中は皆様には大変お世話になりましたこと深く御礼申し上げます。

消費税をはじめとした税制改正や社会保障制度改革など経営環境の大きな変化が予想されますが、
状況の変化にしっかり対応できる強い企業づくりのサポートができれば本当に喜ばしいことだと思っております。
微力ながら、誠心誠意、皆様とともに歩み、成長できるように尽力してまいります。
どうか本年もよろしくお願いいたします。

皆様方のご健勝とご多幸、そして事業のご発展を心より祈念いたしまして
新年のごあいさつとさせていただきます。

さて今年も定期的に社長の皆様にとって有意義な情報をご紹介していきますので
気になる情報の詳細等につきましては、いつでもお問い合わせお待ちしております。

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目次
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【トピックス】
1.就業規則はどうして必要なの?
2.どのような就業規則を作ればいいの?
3.1月から「高額療養費」の自己負担限度額が変更されます
4.雇用障害者数・障害者雇用率が過去最高に!
  障害者雇用には各種助成金制度が適用されます!

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【トピックス1】.就業規則はどうして必要なの?
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日々会社を訪問させて頂いている中で、まだまだ就業規則を十分に整備、活用されていない
会社様をお見受けします。
確かに労働基準法上、10人未満の従業員の会社において就業規則の作成・届出は義務づけられていません。

しかし、社員数が10人未満だからといって、就業規則は作成しなくても良いというものではありません。

【すべての問題は就業規則から】
会社で起こる大きな問題も、日常発生する小さな問題も、全ては「就業規則でどのように定められているか?」
からスタートします。
これこそ就業規則が「会社の法律」と言われている理由です。
何か問題が起きて初めて就業規則を確認する会社も少なくありません。
そのときに、キチンとした就業規則があれば、ほとんどの問題は手間取ることなく解決できるのです!

例えば、就業規則(賃金規程)で、賞与の支給対象者を「賞与の支給日に在籍している者」と規定していれば、
賞与の支給日の前に退職した社員には、賞与を支給する必要はありません。【大和銀行事件】

しかし、就業規則がなかったり、このような規定がない場合は、トラブルになる可能性があります。

実際に就業規則で明記がなかったことから、賞与の支給日には既に退職していたけれども
賞与の支給対象期間に在籍していた社員には、勤務していた期間に応じた賞与を支払わなければならない!
という判例もあります。【ビクター計算機事件】

社員が1人なら口頭で伝えれば済みますが、社員が増えてくるとそういう訳にはいきません。
また、その場限りで適当なことを言って誤魔化したり、
社員によって差別的な対応をしているような会社は社員から信頼は得られません。

そうならないために、文書にして全員に共通するルール、すなわち就業規則が必要になってくるのです。
ルールが明確になっていると、社員は会社から理不尽な対応をされることがなくなりますので、
会社を信頼して、安心して働くことができます。
「社長が規則だ」といった家族的な経営から、組織的に機能する「会社」へと脱皮するために
就業規則は大切な役割を果たしてくれます。
就業規則は、組織の発展のために欠かせない土台なのです。

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【トピックス2】.どのような就業規則を作ればいいの?
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ただし就業規則は作ればいいというものではありません。
会社の実態に合わせて、最終的には会社の利益を生み出すような規則にしていく必要があります。

就業規則は、「従業員が安心して働くことの出来るような根拠を形にする=書式化する」ことが大切です。
• 「こんな場合はどうしたらいいんだろう?」
• 「これって本当は法律に違反してるんじゃないの?」
• 「本当は〜したいけど、言いだせないしなぁ・・・」
• 「これは規定されてないから、〜しても怒られないだろう!」

このような従業員の方々の不安や不満があるようでは、就業規則が機能しているとは言えません。
また、それが原因で優秀な人材が辞めてしまったり、採用できなかったりすれば、会社にとって大きな痛手となります。
「こういう場合はこうしましょう」という行動指針があり、
「どういう“成果”を生みだせば、どういう“報酬”が与えられるのか」が、
はっきり明示され、運用されて初めて『就業規則』と呼べるのです。

社員の仕事へのモチベーションが高く、組織としてまとまっている会社には
必ずしっかりと整備された就業規則があります。
逆に言えば、就業規則(ルール)のない会社が、社員を規律ある組織としてまとめるのは至難のわざと言えるでしょう。

当事務所では会社の業態(企業規模、業種、職種の数、労働時間の実態等)や
従業員の形態(パートとフルタイムの割合、年齢層)を考慮した適切な就業規則の作成、見直しを行っております。

現状の就業規則についてお悩みのことありましたら、
お気軽にお問い合わせください。

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【トピックス3】.1月から「高額療養費」の自己負担限度額が変更されます
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これまで70歳未満の被保険者等に係る自己負担限度額については、所得区分が3段階に分かれていましたが、
H27年1月よりこの区分が5段階に細分化されます(平成27年1月診療分より)

自己負担限度額は、年齢(70歳未満の人、70歳以上75歳未満の人)と所得により区分されています
(70歳以上75歳未満の人については、今回は変更なし)。

【70歳未満の人の区分】
(1)標準報酬月額83万円以上の人
 252,600 円+(医療費-842,000円)×1%[多数回該当:140,100円]

(2)標準報酬月額53万円以上83万円未満の人
 167,400 円+(医療費-558,000 円)×1%[多数回該当:93,000円]

(3)標準報酬月額28万円以上53万円未満の人
 80,100 円+(医療費-267,000円)×1%[多数回該当:44,400円]

(4)標準報酬月額28万円未満の人
 57,600円[多数回該当:44,400円]

(5)市町村民税が非課税の人
 35,400 円[多数回該当:24,600円]

今回の自己負担限度額改正の特徴を一言で言うならば、
「収入の多い人からは多くの医療費を徴収し、収入の少ない人の負担は軽くする」
という感じです。

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【トピックス4】.雇用障害者数・障害者雇用率が過去最高に!
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◆平成26年の障害者雇用状況
 厚生労働省から、民間企業や公的機関などにおける「平成26年度 障害者雇用状況(6月1日時点)」が公表されました。
 この結果によると、民間企業における雇用障害者数は、43万1,225.5人と前年より2万2,278人増加、
実雇用率も1.82%と前年より0.06%上昇しており、ともに11年連続で過去最高となりました。
 また、法定雇用率(従業員数に対する障害者数の割合。民間企業は2.0%)を達成した企業数は、
3万8,760社、割合は44.7%で前年より2.0%上昇しました。

◆法定雇用率未達成企業は?
 法定雇用率未達成企業は、4万7,888社(55.3%)で、そのうち、障害者を1人も雇用していない企業(いわゆる「0人雇用企業」)は、
未達成企業のうち約6割(59.4%)を占める結果となりました。
 現在、法定雇用率未達成企業に対する罰則として、常用雇用労働者が201人以上の事業主には、
法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額5万円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされています。

◆今後の動向と企業への影響
 今年4月から、障害者雇用の義務対象が、常用雇用労働者が「101人以上」の事業主へと拡大されます。
そのため、常用雇用労働者が101人以上200人以下の事業主についても、今後は障害者雇用納付金制度の申告が必要となりますので、注意が必要です。
 
また、障害者雇用率は、労働者と失業者の総数に対する身体または知的障害者である労働者と失業者の総数の割合を勘案して、
少なくとも5年ごとに政令で定められます。
 雇用率の次の改定は2017年となりますが、大方の予測では、
企業・行政ともに障害者雇用のさらなる拡大への取組みが義務づけられることが予想されます。

障害者雇用には各種助成金が適用されます!
障害の程度によっては通常の労働者となんら変わらない労働力が期待できます。
(人材不足の現状では、むしろ健常者以上の労働力を見込める障害者の方が多く求職活動をしています。)

採用をお考えの会社様は、助成金を上手く活用しながらの障害者雇用も是非一つの選択肢としてみてください。

今回のトピックスに関するご質問等あればいつでもお気軽に当事務所までお問い合わせください。


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